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Monday, February 24, 2020

豊橋筆職人が決意の独立 女性唯一「使い手に寄り添う」 - 中日新聞

自分の工房で筆作りに精を出す中西さん=豊橋市上野町の「筆工房由季」で

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 国の伝統的工芸品「豊橋筆」の職人中西由季さん(30)が、師匠のもとから独立した。今年から自らの工房「筆工房 由季」(豊橋市上野町)に拠点を移し、豊橋筆では唯一の独立した女性職人に。10年間見守ってくれた師の教えを胸に歩きだす。

 トントン−。畳敷きの小さな一室に、毛束を机に打ち付けて整える音だけが響く。静けさのなかで手元に目を凝らす中西さん。つい先日まで、隣で机を並べていた師匠川合福男さん(70)の姿はもうない。

 昨年、川合さんから届いた年賀状にはこうあった。「今年は自立の為の総仕上げとして頑張ろう」。これまでは甘えられる存在がいなくなるのが嫌で独立をしぶってきた中西さんだったが、弟子入りしてもう十年。甘えていたところに喝を食らわされ「やるしかない」と踏み切った。

 小さいころから図工が大好きだった中西さん。地元の豊橋でさまざまな筆工房を見学するうちに、その魅力に心を奪われた。「女性は定着しない」というイメージなどから弟子入りを立て続けに断られたが、最後に受け入れてくれたのが川合さんだった。

 豊橋筆の修業は厳しい。最初の三年は売り物になるようなものを作れず、信用を得るには十年かかるという。中西さんも、初めは作った筆が没になることもあった。見て、触って、質問して。「丁寧に良いものを作ること」「使い手が良さを決めること」をたたきこまれた。

 独立し、問屋と直接取引をするようになった。材料も自分で選ばなければいけない。「ぴしっと背筋を伸ばして、一人で作っても認めてもらえる筆を作らなければいけないという緊張感が生まれた」と語る。

 今年の正月、師匠から届いた年賀状には「お互いに筆造りに精進して行きましょう」の文字が。中西さんは「じんときました。まだまだではあるけど対等に認めてもらえたのかなと」。

 「使い手に寄り添うことが一番のモットー」と、師から受け継いだ思いを胸に抱く。その上で、もう一歩先へ。「男性が多かったり、『汚い』と思われていたりする職人のイメージを変えていきたい。若手で交流し新たなことに取り組んでいきたい」と夢を描く。

 (高橋雪花)

 <豊橋筆> 1976年に通商産業省(現経済産業省)から指定を受けた伝統的工芸品。広島県の熊野筆や川尻筆、奈良県の奈良筆と並び代表的な筆として知られている。江戸時代末期、吉田藩(現在の豊橋市)が財政難となり、下級武士が副業として筆作りを覚えたことで発展した。豊橋筆振興協同組合によると、国内の高級筆のうち7割のシェアを占めるといわれている。

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