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Sunday, December 20, 2020

文化遺産に登録 有名無名の職人の栄冠 - 東京新聞

sanubaripanas.blogspot.com

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に日本の「伝統建築工匠(こうしょう)の技」が登録された。この国で脈々と受け継がれる木造建築の優れた技術を後世に伝えるためにも、意義の深い決定だ。

 国内では「能楽」などに続き、二十二件目の無形文化遺産。今回は、木造の建造物を受け継ぐための伝統技術が対象となった。

 木工や左官、瓦屋根やかやぶき屋根、畳など十七の分野。神社仏閣から民家まで広く日本伝統の建築文化を支えている。

 世界最古の木造建築であり、千年以上もの時間と風雨に耐えてきた法隆寺(奈良)。あるいは、豪雪地帯で人々の暮らしを守ってきた白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜、富山)。登録は、この国の「原風景」ともいえる建物を造り、受け継いできた有名・無名の職人たちへの栄冠でもある。

 十七分野の一つに「装潢(そうこう)修理技術」がある。絵画や書跡、古文書などを保存・修理する技だ。地味ではあるが、貴重な文化財を後世に受け渡すために不可欠であることは言うまでもない。無形文化遺産となったことで、こうした分野にも関心が深まってほしい。

 これまでの国内の無形文化遺産には、「アイヌ古式舞踊」など特定の地域の文化に密着したものも多い。一方、今回の「伝統建築工匠の技」は対象が全国に及び、技術の保存団体が各地で設立されている。二〇一三年の「和食」などと並んで、この国全体の文化を顕彰するものだといえよう。

 対象となった技術の団体からは登録を歓迎する一方で、後継者不足などを憂う声も上がる。ユネスコも指摘する通り、熟練した職人が弟子を育て、技能を伝えるという伝統的なつながりが、近代化に伴って薄れかけているためだ。

 人々の意識や生活様式の変化により、厳しい境遇に置かれている技術もある。瓦や畳はかつて日本の家屋を象徴する存在だったが、近年は和室のないマンションも登場。瓦屋根も、相次ぐ震災で「危険」という誤解が広まった。

 こうした中、優れた技術を私たちの世代で絶やさないためどうするべきか、時代に合わせた模索と対応が必要だ。関係の団体だけで解決できる問題ではなく、政治や行政の支援が必須となる。

 その点では今回の登録を、ユネスコからの叱咤(しった)激励とも受け止めたい。国は十七分野を「選定保存技術」として、後継者の養成などで支援しているが、今後はさらにその充実や拡充に努めてほしい。

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