静岡県内唯一の出張すし専門店「蒼の寿司」が今春、袋井市を拠点に営業をスタートした。代表は同市出身のすし職人青島聡さん(24)。大阪の有名店で修業後、独立開業した。全国的にも珍しい挑戦の原動力は袋井への思い。「出張すしで成功し、古里を元気に」。決意を胸にすしを握る。

「扇形に握るのが江戸前ずしの特徴。見た目が美しく仕上がります」―。
袋井市内の住宅で注文客が興味深そうに眺める中、青島さんは技巧を凝らしてすしを握った。目の前で調理するライブ感を大切にし、技法を解説する。「ただの食事会ではなく、満足度を高め、記憶に残るイベントにしたい」からだ。
出張すしはパーティーや誕生日会での注文が多い。出張にも応じる。「台所と水さえあればどこでも向かいます」と笑う。外出せずにプロの料理を味わえることから、徐々に利用者を増やしているという。
青島さんは幼少期からすしが好物だった。すし職人を夢見たこともあったが、高校卒業後は消防士の家族の影響で袋井消防本部に入った。命を守る仕事に、やりがいはあった。だが、夢は捨てきれなかった。21歳ですし職人の道へ。浜松市のすし店勤務などを経て、大阪市の「鮨千陽」で修業した。現場の技を懸命に吸収した。
独立を考え始めた頃、地元での出店が頭に浮かんだ。「修業で袋井を離れ、改めて魅力を感じた」。そして、職場の先輩が出張すしで活躍していることを知った。古里袋井から呼ばれた場所で腕を振るい、お客さんを笑顔にしたい-。出張すし専門店の開業を決めた。
かつての同僚の多くは大都市部で活躍するが、自身は地元での成功にこだわる。他の飲食店との共同企画やイベントの開催など、地域活性化に向けた取り組みを検討中という。「自分が活躍することで若い人たちが袋井へ帰ってくるようになれば」と意気込む。
(袋井支局・仲瀬駿介)
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