今年7月、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に登録されることが決定した。その一報を受け、縄文文化と縁の深い新潟で、この文化を絶やしてはいけないとクラウドファウンディングを開始した、縄文ギャラリー「JOMON」の小池孝男さん。
小池さんの話は、未だ不思議だらけの縄文時代に興味を持てる、と訪れる人に喜ばれている。楽しい話の根底には、新潟と縄文のゆかりを伝えていきたい、歴史を知らなくてもいいから少しでも興味を持ってほしい、そして職人の技を絶やしてはいけないという思いがある。
今回は前回記事で掲載できなかった、小池さんのユニークかつ興味深い話を紹介する。
前回:縄文が世界遺産! 土器職人を応援し、火焔土器や縄文土偶をGETできるクラウドファウンディングが開始
UFOや超能力に夢中だった少年時代の僕がハマった縄文文化
「『縄文時代の話』なんて言うと、小難しそうだし興味がないと思う人が多いのではないでしょうか。それはきっと、僕がそうだったように、歴史の教科書や博物館に見学に行って見た物のイメージがあるからじゃないかなぁ」と小池さんは話し始める(以下、小池さん)。
僕の少年時代は、テレビでたびたび超能力やUFOの特別番組があって、特に男子はスプーンをこすったりUFOを呼ぼうとしたり、秘密基地の地図を作ってみたりと、それは夢のある遊びに夢中でした。同世代の人ならきっと懐かしい話だと思います。
そんな僕が夢中になった縄文時代の文化は、決して遠い存在ではなく現代にもつながっていると思うのです。
みんなでワイワイ食事を楽しみたい時に欠かせない土鍋や七輪なんて、縄文土器が変化してできた物だと思うし、神社でしめ縄をして場所を清めるなんてことも、実は縄文時代から続いているらしい。しめ縄なんて、初めて見る外国人は「なんだこの習わしは!」と驚いて興味を示すんだから、日本人は自分たちの文化をもっと自慢していいと思うんですよね。
教科書にはない火焔土器や土偶の話は楽しい!
縄文時代と聞いて、何をイメージしますか? 火焔土器や土偶あたりなら、思い浮かぶ人も多いと思います。火焔土器は現代の陶芸のルーツで、日本最古の土器は縄文土器だと陶芸家なら誰でも知っています。細かいディティールが素晴らしいのだけど、設計図もない時代にいったいどうやって同じ火焔土器を作っていたのか。そんなことも不思議でなりません。
土偶は現代で言えばゆるキャラみたいで愛らしい。下半身がドッシリとしていますが、それは妊婦をモデルに作っているからと言われているんですよ。当時、人間の寿命は長くない。10代から10人くらいの子どもを産む女性は、命を育む存在として大切にされていたようです。そこにつながるのが“まが玉”。あの独特の形は、胎児をイメージしていると言われています。こんな話をもっと聞ける場があれば、縄文文化が身近に感じられると思うのです。
土偶を目の前で見てみると…1万年前の人はオシャレだった!?
僕が営んでいる縄文ギャラリー「JOMON」では、土器や土偶のレプリカに触れることができます。ぜひ手に取って目の前で見てほしいのですが、よく見ると土器も土偶も仏像も、ハートマークが付いているんです。これを発見した時はテンションが上がりました! ハートのアクセサリーを付けるなんて、1万年前から人間はオシャレを楽しむ文化があったのかと想像がふくらみますよ。
出土する土偶たちはみんな、今見ても「どんだけ派手なの?」と思います。そんな教科書とは違う視点で知る縄文文化が「JOMON」では楽しめますよ。
縄文文化と深いつながりがある新潟県をもっと自慢したい
日本一の大河・信濃川の流域にある新潟県から、火焔型土器は誕生したと言われています。その証拠として、1万年も続いた火焔土器文化の遺跡が発掘されるのは、世界でも新潟県だけなのです。こんなにすごいこと、もっと県民みんなが知って自慢していいと思うんですよね。
しかも縄文時代の道具には、自然との共有、共鳴、共存するものしかなく、人が傷つけ合うために使う物はないというのが大きな特徴。今こんな時代だからこそ、平和でおおらかだった時に思いをはせるのもいいと思っています。実際、「JOMON」に足を運んでくださる常連さんは、心にゆとりのある方が多い印象です。時代を越えて共鳴する部分があるのかなと僕なりに解釈しています。
土器職人の厳しい現状と縄文土器を未来へつなぎたい気持ち
「JOMON」に展示してある縄文土器は、すべて土器職人による手作り。その職人が、現在危機的状況にあります。
かつて職人が作る縄文土器は、博物館や資料館、学校などに納められていました。しかし、中越地震が発生し、土器の多くが落下して割れてしまったのをキッカケに、3Dプリンターで作るプラスチック製のレプリカが流通するようになり、職人の仕事は激減しました。
ただでさえ高齢化が進み、後継者問題を抱える土器職人の世界。ひとつの技術は、一度途絶えてしまうと復活させるのが非常に難しい。だからこそ、僕はどうしても大切な職人を守りたいのです。3Dプリンターで作れば納期は早いし、見た目は変わりません。でも、「JOMON」に来ていただければ分かりますが、土で作った土器には温かさがあります。土偶の表情も一つ一つ微妙に違ったりして。新潟の財産である縄文文化を未来につなげていくには、縄文土器や土偶は人間の体温を感じるものであってほしいと強く思っています。
土器職人の活動支援と縄文文化を新潟から世界へ発信するために
このたび、土器職人を守るため、そして新潟から縄文文化を発信するために、クラウドファウンディングを立ち上げ、皆さんのご支援をお願いしています。
リターンには、職人手作りの縄文商品を数多く用意しました。お手元に届いた土器に触れて、土の温かみや独特の雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。僕の家業であるろうそくとコラボしたオリジナル土器もあります。歴史好きな方はコレクションの一つとして、そうでない方もちょっとした部屋のインテリアとして、手作りの一品ものをゲットしませんか? 皆さんのご支援、よろしくお願いします!
【クラウドファウンディング サイト】
縄文が世界遺産! 土器職人を応援し、火焔土器や縄文土偶をGETしよう!
URL:https://camp-fire.jp/projects/view/421243?list=search_result_projects_popular
(プロジェクト実施期間:8月30日23時59分まで)
【縄文ギャラリー「JOMON」】
住所:新潟市江南区所島2-2-76 小池ろうそく店内
電話:0120-87-6009
営業時間:平日10時~17時 ※要事前予約
定休日:土・日曜、祝日
からの記事と詳細 ( 土器職人を応援し、火焔土器や縄文土偶をGETできるクラウドファウンディング 縄文ギャラリー主人・小池孝男さんのこぼれ話 - にいがた経済新聞 )
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