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Saturday, October 30, 2021

<東北の本棚>人情味ある打撃の職人 - 河北新報オンライン

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落合博満論/ねじめ正一 著

 プロ野球ロッテ、中日、巨人などで活躍し三冠王を3度獲得した男鹿市出身の落合博満さんをテーマに対談やエッセーを収めた。落合ファンである著者の言葉からは、わが道を進み、とっつきにくい印象もある男の人情味ある素顔を垣間見ることができる。

 巨人、中日で落合さんとプレーをした川相昌弘さんと著者の対談からは気さくさや面倒見の良さが分かる。川相さんが巨人在籍時、中日戦で出塁すると、一塁を守っていた落合さんに「あの打ち方じゃ全部ファウルになる」と話し掛けられ、技術面の助言を受けた。2人の共通の知人が「巨人に高校の後輩で川相というヤツが入った」と落合さんに声を掛けていたという。

 東芝府中野球部時代の関係者から聞き出した話が興味深い。所属時の監督の退任送別会に姿を現した際に涙を見せた話からは、プロ野球で一時代を築いた人物の意外な一面を感じられる。

 1998年に著者が落合さんと対談した時の人間観察も面白い。対談場所のウナギ屋の主人と落合さんとのやりとりから、打撃のプロの職人かたぎを感じることができる。

 本書からはプロ野球に造詣の深い作家の熱い思いが伝わる一方で、人間落合の核心に迫るエピソードがもう少しあれば、と感じた。(安)

 集英社03(3230)6391=902円。

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