TeNYテレビ新潟
伝統的な木造住宅や神社仏閣を手がける73歳の職人がいます。50歳以上も年の離れた弟子たちと今も現場に立つ男性。その原動力を見つめました。 その手で木のぬくもりを感じ、そして人々の暮らしを支えてきました。日本建築の職人、山崎四雄さんです。 【山崎四雄さん】 「木を扱って建物を作っている日本の建築が世界一美しい」 いま、その手は次の世代の育成に使われています。 「ものづくりが好き」中学卒業と同時に職人の世界へ入った山崎さん。住宅の新築・改築から神社仏閣まで100軒以上の建設に携わってきました。 新潟市江南区にある神社。25年前、設計から建てかえまで山崎さんが3年がかりで完成させました。木の表面のわずかなくぼみや曲がり具合、一つ一つの個性を組み合わせて作り上げました。 50年、100年後の姿まで思い描き後世に残るように。 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「この技術を住宅に残していくわけさ、そこが大事なとこ。一回なくなってしまうと技術はなかなか戻らない。残さねばならない、いや、きっと残るよ」 去年12月、日本の伝統的な木造建築の修理・保全を行う職人の技術が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。 “匠の技”に世界的な注目が集まる一方、人口減少や工事の機械化に伴い職人の数が減り続けています。50代以上の職人が全体の半数近くいる一方、20代以下は11パーセント。高齢化による職人不足や技術の継承が課題となっています。 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「日本建築なんか目指している人自体が少ないんじゃないかな。これはでも、お金を取りてば(稼ぎたければ)こんなとこに来ないし、仕方ないんじゃないかな」 全国的にも珍しい日本建築を学ぶ学科がある新潟市秋葉区の新津工業高校。山崎さんは建築科が出来た10年前からここで講師を務めています。 <高校生>「ここってどれくらい丸くしたほうがいいですか」 <山﨑四雄さん>「手にトゲが刺さらなければいい。あまり丸くするとかっこ悪いんだよ」 毎年、この中から大工になるのは、5、6人。未来の職人を育てるため一人ひとりの可能性を見極めます。 <記者>山崎さんってどんな人? <高校生>「すごく優しい人です」 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「好きな子が何人かいて出てきてくれれば。地域に残れば地域の貢献になるし、日本一の建物を建てたいと思う人は中央に行ってさ、そういう橋渡しができれば」 こうした縁から、ことし4月、2人の若者が山崎さんのもとで職人の道を歩み始めました。 板垣幹さんと、渡辺雅空さん。ともに新津工業高校を卒業したばかりの18歳です。 【板垣幹さん】 「(高校時代とは)レベルが全然違いますね、難しさだったり。失敗できないので」 【渡辺雅空さん】 「筋肉ちょっとずつですけどついていると思います」 高校時代から2人は、ライバルであり親友。高校生が技能を競う大会ではともに優秀な成績を収めましたが・・・ プロの世界では新人材料や建物の規模も、ケガのリスクも、高校時代とは比べ物になりません。 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「学校とは違う、親方が怒る、学校の時は怒らなかったのに。お客様の製品を作っているんだから、これは仕方ないよ」 「親方の背中を見て学べ」という教育手法は遠い昔のこと。 <山崎さん>「足気をつけろや、足切るなよ」 どこが難しいのか、なにが危険なのか55歳も年の離れた弟子たちに自ら手本を見せて指導します。 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「ケガさせたら大変だしさ。朝が来たら、夜みんなが帰って行ってしまうまで、気は休まりませんよ。電話が来るとなんか悪い電話だもん」 感染状況を見ながら山崎さんは自宅に弟子たちを招きます。 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「大事な家族だ。世が世であれば、うちで泊っているわけさ、弟子だからさ」 木材と向き合い続けて60年。ことし4月、長年の功績がたたえられ春の叙勲を受章しました。それでも・・・ 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「死ぬまで勉強なんですよ」 常に新たなことを学びたい。知識を深めるため定期的に専門家を招いて勉強会を開きます。 地震など災害に強い住宅を目指し73歳になった今も探求心が衰えることはありません。一方で、衰えを感じることもあります。 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「少し欠けているところがあるわ。あの顕微鏡で見た欠けが肉眼じゃ見えなかったわけさ、本当だと見えるわけさ、それまで落ちているんさ」 年齢を重ね視力や体力の衰えを実感することも少なくないといいます。9月、佳境を迎えている建設現場では、この春職人になった2人が屋根の組み立て作業を行っていました。 <山崎四雄さん>「落ちるなよ、おーし、うまいぞ。だんだん慣れたか」 自分で考えさせるため、遠くから見守ることも増えてきました。 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「職人っぽくなってきた。手とかさ、そういうところが職人っぽい手になってくるんて」 【渡辺雅空さん】 「できないことの方がいまは多いですけど、できると楽しいと思ったり」 【板垣幹さん】 「親方いつも言うんですけど、自然に帰るうちといつも言ってるんですけど、そういううちが作れるような技術とか知識を、これからもっと学んでいきたい」 日本建築の未来を支える若者の育成へ。築き上げたすべてを伝えていく考えです。 【日本建築職人 山崎四雄さん】 「いい建物を一生懸命作るさ。若者も、そういう若者を育てていく。人間、自分一人じゃ短いから次々と誰かがつないで行ってくれないと」 木造建築の「たくましさ」そして「暮らしやすさ」“伝統の技”を次世代につなぐために山崎さんの挑戦は続きます。 ※9月22日放送「夕方ワイド新潟一番」より抜粋。
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