かつて水晶や金の産出で栄えた山梨県には、現在も宝石研磨や貴金属加工の事業所が多数ある。この山梨県の主に甲府市で作られるジュエリーに今、スポットライトが当たっている。
その理由には、技術革新や若い担い手の増加によって、これまでにないデザインやアイテムが生まれるようになったことがある。日本の職人技が生み出す名産品の地としては、福井県鯖江市のメガネ、新潟県燕市のカトラリーが有名だが、そのようなイメージで、遅まきながら活気づいているのだ。
甲府市にある大森水晶では、大正時代から水晶を扱ってきた。その4代目が「タカヒロ・オオモリ」としてコンテンポラリーなジュエリーを製作し、人気を博している。水晶の原石をフリーハンドで研磨したイヤーカフは、澄んだ水や冷たい氷のような風合いが魅力。耳に引っかけて着用するので、ピアス穴がなくても楽しめる。
また、県内のメーカー16社が集まって構成するブランド「シンプリッチ」では、ローズクオーツやイエロークオーツを使ったマロンカットのネックレスが目を引く。伝統工芸士の資格を持つ職人が、水晶を栗の形に磨いてていねいに仕上げるのだという。
ジュエリー産業の中心地といわれる場所は、世界の各地にある。英国のバーミンガム、ドイツのプフォルツハイム、イタリアのヴァレンツァなどで、日本でそれに当たるのが甲府市だ。専門的な技術を持つ工房が多いため、東京からここに拠点を移す若いクリエーターたちも増えてきた。何より、日本に気鋭の職人たちがいて、質の高いジュエリーを生み出していることがうれしい。
ジュエリー・時計ジャーナリスト 本間恵子
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