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Tuesday, January 28, 2020

元フェイスブックジャパン代表の「次の一手」はなぜクラフトビールのD2Cなのか - ITmedia

 「ブランドとテクノロジーの力で日本のモノづくりの翼になる」

 2019年1月24日、元フェイスブックジャパン代表取締役の長谷川 晋氏は新会社MOON-Xの共同創業者兼CEOとして初めて臨んだプレス発表会の冒頭で、新たなビジネスへの思いを語った。

 フェイスブックジャパンを去る約半年前の2019年3月、長谷川氏は「今のポジションは私にとって最高の環境でした。有意義で明確なミッションを持った会社でダイナミックな役割を任せてもらえた」と語り、次のステージとして起業を目指すことを示唆していた。

 長谷川氏はフェイスブックジャパンと楽天でインターネットビジネスに深く携わったが、それ以前にはP&>で10年間、「パンパース」「ジレット」「SK-II」など、さまざまなブランドのマーケティングやマネジメントを経験している。そこで身に付いたのが「本当に良い製品、良いブランドは人々の生活を豊かにする」という信念だ。

 これまでのキャリアの集大成として「ブランドとテクノロジーで日本の経済に貢献したい」と考えた長谷川氏が注目したのが、日本のモノづくりだ。

 日本には全国津々浦々、モノづくりに長けた企業がたくさん存在する。一方で、そうした企業に限って発信力が弱いことが多い。そこで「良いモノを日本中、さらに世界中に羽ばたかせる」ためのブランド群を築こうとMOON-Xを創業するに至った。その第1弾となったのがこの日発表されたクラフトビールブランドの「CRAFT X」だ。

MOON-Xのブランド第1弾となった「CRAFT X」

で、なぜクラフトビールなのか

 CRAFT Xはホップの香り豊かなIPA(India Pale Ale)の中でも新しい「クリスタルIPA」というスタイルで、苦味が少なく飲みやすいのが特徴のビールだ。醸造は文政6年(1823年)創業の木内酒造(茨城県那珂市)が担う。

 元フェイスブックジャパン代表取締役がなぜクラフトビールの世界に参入するのか。長谷川氏は3つの理由を挙げた。

 1つ目は自らの体験だ。一時期健康上の理由もありビールを飲まなくなっていたこともある長谷川氏だが、数年前に出張先でたまたま口にしたIPAのおいしさに衝撃を受けた。聞いてみると米国ではクラフトビールが大人気。実際、スーパーマーケットの棚にはさまざまな種類のクラフトビールが並んでいて「ビールにキラキラしたものを感じた」という。

 理由の2つ目は人の縁だ。特にビール評論家の藤原ヒロユキ氏と、今回のパートナーとなる木内酒造代表取締役社長の木内洋一氏に出会ったことが大きい。

 3つ目は市場性。矢野経済研究所の調べによると、2009年から2016年までに日本のクラフトビール市場は2倍に成長している。しかし、2017年のビール全体に占めるクラフトビールの割合は出荷ベースでたった0.9%にすぎない。米国ではこれが13%であることを踏まえれば「伸びしろしかない」というわけだ。

 CRAFT Xの「X」は「Next」を意味する。FacebookやInstagramをコミュニケーションのインフラとして日本に定着させた長谷川氏の「次の一手」への期待は高い。Moon-Xは創業3カ月でベンチャーキャピタルのJAFCOと個人投資家から10億円強の資金調達を完了している。

タッグを組む木内酒造代表取締役社長の木内洋一氏(左)と。木内氏は「ITとクラフトビールのコンビネーションが面白いと思った。ビール以外のジャンルでのクラフトバージョンにも取り組んでいきたい」と語る

サブスクリプションモデルのD2Cに挑む

 クラフトビールの次の市場を生み出しブランドを成長に導くため、長谷川氏が重視するのが以下の3点だ。

  • 消費者との継続的な対話
  • テクノロジーの活用
  • 日本の作り手との協業

 CRAFT Xは当面、小売店には卸さずD2C(Direct to Consumer:製造直販)のみで展開する。特徴的なのは1本いくらという売り方はせずサブスクリプション型の販売方法を採用している点だ。月額6960円(税込み)で会員には350ml缶のクリスタルIPAが毎月12本届く(初回2000円のディスカウントあり)。

 経営の観点からいえば、会員制によりMRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)で財務的な安定を実現できるというメリットもあるだろうが、主眼とするのはむしろ消費者との継続的な関係の構築だ。ビールそのものの品質はもちろんのこと、無料配送や日時指定など満足度の高いサービスを提供してブランドを好きになってもらい、「消費者と共にブランドを育てたい」という思いがそこにはある。季節限定ビールの先行案内やエクスクルーシブな試飲会などの機会を設けて消費者の声を商品開発に反映させることにも積極的に取り組む方針だ。ちなみに初回出荷分では、2019年11月に行ったテスト販売時に集めた消費者からのフィードバックを基にレシピや醸造方法を既に改善している。

 消費者とつながるために欠かせないのがテクノロジーだ。対話のためのチャネルとして、古巣であるFacebookやInstagramをはじめとするさまざまなチャネルを活用する。また、そこからグローバル市場に打って出ることも視野に入れている。

 そして、作り手と対等な立場で向き合い、商品開発からストーリーテリングまで二人三脚で進める。単に発注者と受注者の関係にとどまることなく、ここでも共にブランドを育てようという姿勢が一貫しているのだ。

消費者と作り手と一体となってブランドを育てる(出典:MOON-XのWebサイト)

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January 29, 2020 at 09:00AM
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