室町時代から600年以上続く、硯の名産地・宮城県石巻市雄勝町。
東日本大震災による津波で被災した町で、遠藤さんは今日も石を彫って硯を作っています。
「仕事場も自宅もなにもかもなくなっちゃったんですけどね。ノミ10本と原石さえあればどこでもできるんです。だけど、いい石があってもそれを製品にする職人さんがいないとダメですよね。“作るしかないな”という思いで10年やっているんです」と遠藤さん。
津波で流された、遠藤さんの工房と自宅。瓦礫のなかをかき分けて見に行くと、震災前のものが見つかり、かき集めているうちに、「“あぁ、これはこのまま作り続けろということかな”と思った」と言います。
もともと職人ではなく、採石場で石を採る仕事を3代に渡ってしていた遠藤家。
雄勝の山にはいろいろな良い石がありますが、こだわりの職人がいないと硯は作れません。“良い石を製品として残したい”という思いで、採石業から職人になったのが遠藤さんの父親でした。「うちの場合は手作りなので、石を見ながら作るんですね。1個1個、形が違いますよね。その石の形を活かしながら硯を作るんです」
遠藤さんは父親の思いを受け継ぎ、“石の個性を見る硯作り”を続けています。
墨をすっているだけで心が落ち着いてくる。そんな硯を雄勝で作り続けたいと遠藤さん。
「良い石と墨がマッチすると、気持ちが整うというんですかね。それが1番良い硯だと思っています。こういうコロナの時代になって、うちのなかで時間を忘れるゆとりというかね。ぜひ石の硯でゆっくり墨をすって、いまの思いを書いてみてもらえたらなと思っているんです」
<番組概要>
番組名:DUNLOP presents みらい図鑑
放送日時:毎週土曜13:55~14:00
パーソナリティ:吉田美穂
番組Webサイト:https://ift.tt/3mT85ph
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