旅客機が目的地の空港へ着陸する際には、管制官とパイロットが連絡を取り合い、事前に定められたコースや高度で飛びますが、なかには「管制官が一方的にしゃべる」ケースも。いまやレアな方式ですが、それはもはや職人技の世界でした。
「ILS」だけじゃない着陸進入
飛行機の運航で最も慎重を要する場面は、なんといっても着陸時。旅客機の着陸進入は、滑走路の近くまで自由に飛ぶのではなく、「計器進入方式(IAP =Instrument Approach Procedure)」というルールにのっとりフライトするのが一般的です。
これは、着陸前の数分間、着陸空港の滑走路末端から20~40km程度の空域を、事前に定められたコースや高度で飛ぶことで、安全性や正確性を高めるものです。ANA(全日空)のパイロットによると、「航空会社のフライトの90%以上がこの方式で進入する」のだとか。
「着陸進入にあたっては、地上に近づくにつれて障害物を避けて飛行すること、とくに航空機が多く飛んでいる空港周辺で、他の航空機と安全な間隔を取って飛行すること、正確な経路を飛行することが大きなポイントです。また、天気が悪いときでも滑走路まで安全に降りてくることが求められます。計器進入方式は、そのための手段です」(ANAパイロット)。
つまり、正確で安全な着陸進入を常に実現するためには、さまざまな条件を鑑みて事前にしっかりと定められたルールやシステムに従って操縦することが、もっとも効率的であり、計器進入方式は、それを実現するための最適解のひとつ、ということでしょう。
この計器進入方式にはいくつか種類があり、パイロットは空港や気象条件によって使い分けているそう。もっとも一般的な方式は、滑走路から縦(上下)方向と横(左右)方向へ発出される電波のガイドに沿うように操縦することで、滑走路の至近まで安全にたどり着く「ILSアプローチ」ですが、その種類はこれだけにとどまりません。ただ、いずれにせよパイロットは、地上から電波やGPS電波、地上の目標物といったものをガイドに目的の滑走路までたどり着くのが一般的です。
ただ、この例外となるのが「PAR(Precision Approach Radar、精密進入レーダー)アプローチ」というもの。前出のANAパイロットが「実施する機会がほとんどなくなってきた」というこの進入方式、どのようなものでしょうか。
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