父の闘病きっかけ 金沢の職人・橋本さん工房
病気などで体が思うように動けなくなっても、お気に入りの洋服を着続けられるよう、仕立職人の橋本久恵さん(46)=金沢市玉鉾=が服をリメークするサービスに乗りだした。脳出血で亡くなった父親の青木武さんとの闘病体験が原点にある。橋本さんは「病気や障害があっても楽しめるファッションを普及させたい」と話す。 (吉田拓海)半身まひの人や車いす利用者など、それぞれの身体の状況に合わせ、その人の洋服をリメークする。ボタン留めのシャツの内側に面ファスナーを取り付けたり、上着の脇にファスナーを取り付けて脱ぎやすくしたりと手法はさまざま。外見は普通の洋服と変わらないように工夫する。
きっかけになったのは父の闘病中、市販されている入院服のデザインの少なさを知ったこと。「チェック柄や花柄しか売ってなかった」と驚いた。三年ほど闘病した末、二〇一四年に亡くなった後も、父におしゃれをさせてあげられなかったと悔やんでいた。
教員を務めていた金沢文化服装学院(同市)で、障害の有無や年齢にかかわらず服装を楽しめる「ユニバーサル・ファッション」の概念を知った。県済生会金沢病院(同市赤土町)で夫の俊彦さん(50)が経営する売店を手伝ううち、服を自由に選べない患者の姿がかつての父と重なった。患者や看病する親族のため、洋服のリメークを引き受けようと思い付き、自宅に工房を設けた。
売店に六日、申し込みのブースを開設。初日にたまたま訪れた入院中の女性は橋本さんの説明を聞き、「便利でおしゃれそう」と関心を示していた。橋本さんは「誰だって、事故で入院する可能性がある。誰もが洋服を自由に選べるようになれば、楽しみが増えるはず」と語る。
費用は、リメーク一カ所につき約三千円から。申し込みブースは午前七時半〜午後六時半(土曜は午後三時まで)。日曜と祝日は午前十時〜午後二時。(問)橋本さん076(268)5077
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