11月にポーランドの国立博物館で開かれる予定の越前和紙展で、紙すき工房を再現して展示しようと、2019年に廃業した越前和紙職人の山口和夫さん(90)と絹子さん(故人)の工房から紙をすく道具約20点が搬出された。和夫さんの長男の妻、けい子さん(54)が立ち会って作業を見守った。
ポーランドに送るのは、紙をすく際に水を入れる「漉(す)き舟」や繊維をすくい取る簀桁(すげた)などで、和紙を製造する地元有志が協力して工房から運び出し、福井市の運送業者に引き渡した。
山口さんが住む地区の和紙工房内に祭られているという、地元の「紙の神様」である川上御前の「分け御霊(みたま)」が宿る小さな社(やしろ)が山口さんの工房にもあり、他の道具と一緒にポーランドに渡ることになった。業者に渡す前に岡太(おかもと)神社に運び込まれ、分け御霊を神社に帰す、神事「御霊抜き」を行った。
宮司の上島晃智さんは「これまで山口家をお守りいただいた。これからはヨーロッパで新しい役割を担っていただく」と話した。けい子さんは「亡くなった義母もこのまま道具を眠らせておくより、展示によって見てもらえる方が喜んでくれる」と目頭を押さえた。
山口さんの工房は19年に絹子さんが亡くなったことを機に廃業した。地元の写真家の畑勝浩さんがポーランドの学芸員、ヨアンナ・ココッチさんに越前和紙の工房を案内したことなどがきっかけとなり、山口さんの紙すきの道具が同国の博物館で展示や保存をしてもらえることになった。畑さんは「越前和紙を知ってもらい、文化の交流が生まれてほしい」と話した。【横見知佳】
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