これまでやりたくても「時間」がなくてできなかったことに挑戦する「時間」をセイコー プレザージュが提供するこの企画。
写真が趣味という、俳優・成田凌さん。愛用のカメラを携えて、東京の下町・北千住のうなぎ店へやってきた。以前から職人に憧れ、間近で仕事を見て、その姿を写真に収めたいと思っていたという。
カメラ。職人。そして、役者という仕事……。成田さんが心ひかれるものについて、語ってもらった。
表現したかったのは、職人の手の質感と存在感

――カメラが趣味とのことですが、普段はどのようなものを撮っていますか?
共演者の方や、撮影現場に参加してくださった子どもとか、犬とか。何をしていても、無意識に撮りたい瞬間を探している感覚があって、そのタイミングを逃さないように普段からカメラを持ち歩いています。職人さんの仕事に興味があったので、今回はうなぎを扱うお店で撮らせていただきました。
――フィルムカメラとデジタルカメラを使い分けながら、体を曲げたり、首をひねったりして熱心に撮影されていました。
職人さんの手元を撮りたかったんです。包丁を研ぐ、水にぬれた手に色気を感じたんですよね。道具を大切にしているのも、手の動きから伝わってきていいなと思った。臨場感そのままに切り取るために、自分もまな板の高さまで体をかがめて手元を追いました。

職人さんの手は、何年も何十年も時を積み重ねてできたものだから、刻まれたシワの一つ一つが美しい。僕では一生こうはなれないという手をしています。カラーでも撮りましたが、カラーだと写り込んだものすべてに視線がいくというか、生っぽく撮れてしまう。手の質感や存在感を強調したかったので、今回は余計な情報をそぎ落とせるモノクロの方が合っているように感じました。

――どうして職人さんの仕事に興味を持ったのでしょうか。
僕の父は大工で、兄は塗装業。2人とも職人なんです。父の手は大きくて、すごく立派で、かっこいい。その記憶が根底にあるから、昔から職人さんへの憧れが強いんだと思います。自分の好きなものを作り続けている人たちは、やっぱりかっこいいです。いろいろな職業の人を演じるのが僕の仕事だけど、本物にはかなわないなっていつも打ちのめされます。
――役者も、演技という一つの道を究める職人と言えるのではないかと思うのですが。
うなぎ屋さんの場合は「あの味が食べたくて」で選ばれる。僕は、言うなればうなぎで、泳いでいるところを捕まえてもらって、監督や共演者さんと一緒にどう料理するか考えていく感じ。だから、1人で全工程を仕上げる職人さんとは少し違います。

ただ、一生修行という点では役者も同じです。ご主人は、「いまだに焼きで失敗することがある」とおっしゃっていましたが、究極、どんな仕事も毎日毎日が修行ですよね。役者の仕事にも、究めたと思える瞬間なんてこないと思う。終わりがないことをひたすらやり続けているんです。
日々の何げない暮らしの中で出合う、愛おしい瞬間を大切にしたい
――カメラはいつごろから撮り始めましたか?
小さい頃からフィルムの入っていないおもちゃのカメラでガチャガチャガチャガチャ、よく遊んでいました。初めて自分でカメラを買ったのは、高校生のとき。安いトイカメラだったけど、すごく楽しくていっぱい撮りました。
――今回持ってきていただいたカメラも、思い入れのあるものですか?
このPENTAXとライカは、姪(めい)っ子の七五三のタイミングで買いました。フィルムカメラで撮った、僕の父と2人して半目で写っている写真は一番のお気に入りです。気に入りすぎて、その写真でトートバッグとTシャツを作ったら姪っ子は怒っていましたが、僕にとってはものすごく愛(いと)おしい瞬間を切り取れた1枚でした。

生きていると、残しておきたい一瞬が絶対にある。ちゃんと点を打って時間を切り取っておけるから、カメラが好きなんです。
――瞬間や時間を、とても大切にしているんですね。
人生に無駄な時間なんてない。本当にそう思います。僕は役者になったのが21歳と遅かったので、この仕事を始めた頃は同年代の俳優と比べて出遅れたと焦っていました。でも、地元で家族と過ごした時間があって、仲のいい友人と美容師を目指して専門学校に通い、バイト先の古着屋でスカウトされたから、今がある。全部つながっているんですよね。役者になるなんて思わずにごくごく普通に生きてきた20年間で見たり感じたりしたことは、演技をする上でもプラスになっています。

――時を刻む、時計へのこだわりはありますか? 成田さんには今、「SEIKO PRESAGE Sharp Edged Series」をつけていただいていますが。
僕、手首が元々細いから、大きい時計はあまり似合わないんです。でもこれは、ケースサイズが39.3ミリと割と大きめなのに、収まりがいい。ここ一年、体を鍛えていたら手首が太くなってきたので、それもあるのかな。セイコーの時計はすごく大人のイメージがあったけど、気づいたら自分も今年で28歳。セイコーが似合う年になったと思うと、感慨深いですね。

「SEIKO PRESAGE Sharp Edged Series」のデザインもすごく気に入っています。時計は、やっぱりシンプルなものが好き。どんな場面でも合わせやすい時計は、長く使えますから。自分の子どもに時計を譲るのが1個、夢としてあるので、いくつか持っている時計はすべて大切に使っています。
なかでも、2年前に映画賞を受賞させていただき、その足で自分へのご褒美として買いに行った一本は特別な時計です。当時はまだ26歳で、いい時計を買うには少し早い気はしたものの、嬉しい記憶と一緒に時計を持っていたくて勢いで購入しました。大人が時計を見るしぐさに憧れていましたが、今では自分も手首を見るのがちょっと癖になっています。
大海原に出た今、自分はどこにだって行ける

――役者になって7年。さまざまな作品に出演されてきました。
いつも不思議です。どうしてこの役に僕が合うと思って呼んでくれたんだろうって、いつも思う。自分に人気があるかどうかも、正直わからないんですよ。街中でロケをしていても周りの人は無反応とか、よくありますから。映画に人を呼べるのか。毎回怖いし、ドキドキします。役者としてはまだまだ未熟で、「いつになったら完成形になるんだ、自分」と思うことばかりです。
――怖さがあるにもかかわらず、それでも役者を続けるのはなぜですか?
なんででしょうね? ……オファーをいただけるとうれしいし、台本を読むとワクワクする。共演者さんが決まっていって、みんなで本読みをして、本番を迎えて。そのすべてが僕にとっては楽しい時間です。役者の仕事は面倒なことも多いんですが、それでもやっぱり楽しいから続けてこられたんだと思います。
――役者を志したきっかけは。
スカウトされたとき、なんだか急に、昔テレビっ子だったこととか、小学生の頃にドラマに影響されてお風呂場で泣く練習をしていたことなんかをバーッと思い出して、「あ、自分は表に出る仕事がしたかったんだな」って気がついたんです。それで、少しでも近道ができないかと思って、雑誌『メンズノンノ』のオーディションを受けました。
――モデルとして活躍しているうちに演技に興味を持ったのではなく、役者になりたくてまずモデルの仕事を始めたんですね。
そういった経緯からか、役者として出始めたころは本来自分が求めていたわけじゃない枠の中にいました。だから、最近10年ぶりくらいに会ったある人に、「脱イケメンしたね!」って言われたのは、なんか、すごくうれしかったですね。それは自分でも感じていた変化だったので。
今は、大海原に出たような気分です。枠の中にいたときは進むべき道が決まっていたけれど、海には道はなくて、自分で行きたい方角を選べる。どこにだって行ける。どこに行きたいのかはまだわからないですが、それはこれから一個一個試しながらやっていくしかないですね。
――役者として、これからどんなことをしたいですか?
子どもの夢が増やせるような役を演じてみたいです。警察官とか消防士とか、正義のために、みんなのために戦いたい。作品が誰かの人生を変えることって絶対にあるんですよ。昔、医療をテーマにした作品に出演したことがあって、 「あの作品を見て自分は今ここにいます」と言われて、すごくうれしかった。作品には力があるから、ドラマや映画で救われる人はたくさんいるはずです。
芝居をちゃんとして、作品を好きになってもらうのが僕の仕事。これからも、「あの作品良かったよ」と言ってもらえるような役者でありたいと思っています。
(文・渡部麻衣子 写真・高橋雄大 取材協力:まじ満)
PROFILE
成田凌
成田凌(なりた・りょう) 1993年11月22日生まれ。
2013年に男性ファッション誌『メンズノンノ』の専属モデルに。翌年、ドラマ『FLASHBACK』で役者デビューを果たす。話題作に立て続けに出演し、19年は『カツベン!』で映画初主演、21年は映画『まともじゃないのは君も一緒』『くれなずめ』でも主演を務めた。今年6月に『メンズノンノ』を卒業。22年1月放送『逃亡医F』でプライムタイム初主演を務める。さらに活躍の幅を広げている。
成田凌さんが今回切り取った時間はこちら(写真をクリックすると、くわしくご覧いただけます)
※今回の企画は、新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じた上で取材・撮影を行いました。
REACTION
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