リベロは「引き立て役」
いたってシンプルで、まるでバレーボール教室のような質問に答えてくれたのは、Vリーグでサーブレシーブ賞とベストリベロをそれぞれ6度受賞し、昨季限りで現役を引退、現在は株式会社エフピーデポで金融コンサルタントに転身した古賀幸一郎氏だ。現在の日本代表に当てはめ、「リベロの役割」を古賀氏はこう説く。 「引き立て役ですよね。今の日本代表で軸になるのは間違いなく石川(祐希)選手。バレーボールは相手より多く得点を取らなければならないスポーツで、そのために一番有効的な手段がスパイクである以上、西田(有志)選手と共にポイントゲッターとなる石川選手をいかにストレスがない状況でプレーさせるか、いかにカバーしてあげられるかがリベロの役割。そこは日本が勝機を見出すためのポイントでもあるはずです」 5月28日から行われたネーションズリーグの成績を見てもわかるように、石川は総得点、サーブレシーブの受数、返球率のすべてでチーム最多を記録している。当然ながら相手からすれば要注意選手であり、石川が万全な状態で攻撃参加できないよう、どのポジションにいてもサーブを狙ってくるだろう。 しかも、時速120~130キロを超えるようなジャンプサーブもあれば、コート中央に落として体勢を崩させるようなショートサーブ、選手の間を狙った左右に動かすサーブなど種類もシチュエーションもさまざま。 石川を思惑通りに崩されれば、日本は不利な状況を強いられる。いかに石川のストレスを軽減させ、よりよい状況で攻撃参加させるか。その環境を整えるのがリベロの役割だと古賀氏は言う。 「たとえば石川選手が前衛レフトで、リベロが真ん中にいるローテーションならば、相手がサーブを打った直後にリベロともう1人の(サーブレシーブに入る)アウトサイドヒッターが石川選手のほうに半歩寄る。相手は打つ瞬間までは石川選手の位置を確認して狙いを定めているので、打った瞬間にリベロがカバーして石川選手が守る範囲が減れば、それだけでも相手の策を上回ることになります。 リベロがレシーブすればそれだけ石川選手は速く攻撃態勢に入れるし、もしそのまま石川選手がレシーブしたとしても範囲が限定される分体勢を崩される確率も減る。ジャンプサーブならばオポジットを(サーブレシーブに)入れるとか、少しの駆け引きをするだけで、石川選手のストレスを減らして得点機会をより増やすことも可能になる。その環境を整えるのがリベロの仕事です」 サーブレシーブでキープレーヤーの負担をいかに減らすかがカギになる。
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