東京オリンピックの聖火リレーは18日、東京都中央卸売市場足立市場(足立区)内で、豊島、板橋、北、足立各区の公道を走る予定だった聖火ランナーらが「トーチキス」で聖火をつないだ。11日目となる19日は、荒川区の南千住野球場で同様のセレモニーが行われる。
「トーチの桜は人の心の華、エンブレムは下町職人の匠(たくみ)の華」
トーチには、45個の四角形が点で接する約3.5センチ大の五輪エンブレム「組市松紋」があしらわれており、その金型の原型彫刻を担った。足立区の最終ランナーとして、トーチから聖火皿に聖火を移す大役を果たし、「ギリシャから海を渡り、全国の皆さんがエンブレムを掲げてくれた」と感極まった表情を見せた。
栃木県で生まれ、「自分だけの技術を身につけたい」と15歳で単身上京した。浅草の金属彫刻職人のもとに住み込み、朝から晩まで働いて技術を磨いた。
前回の東京五輪が開かれた1964年、22歳で独立し、足立区に工房を構えた。高い技術は評判となり、有名ブランドのロゴやアクセサリーづくりの依頼が相次ぐようになった。2012年には、都が優れた技能者を認定する「東京マイスター」にも選ばれた。
大会のエンブレムを伝えるニュースを見た時、複雑な形に「これは彫るのが大変だ」と思うのと同時に、「私のところに依頼が来るかも」と直感したという。
実際に正式な依頼が舞い込み、作業に没頭した。製造時にプレス加工を繰り返す中で四角形の接点が欠ける懸念もあったが、自慢の腕で細部を手作業で調整して精度を高めた。「世界中、どこに出しても恥ずかしくないものができた」と満足そうに振り返る。
「下町の職人代表」として走るつもりで、毎朝、水を入れたペットボトルを手に走り込んできた。「トーチキスだけでも、できてうれしかった」と喜び、「日本のものづくりを支える職人の技術を世界の人に知ってほしい」と会心の笑みを浮かべた。
からの記事と詳細 ( トーチのエンブレム金型制作の「下町の職人代表」、ついに自らの手に聖火(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース )
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