日本が育んできた温泉文化を現代のライフスタイルに合わせてアレンジした日本旅館「界」では、季節ごとに4施設ずつ、「手業のひととき」というご当地文化体験を行っている。地域の文化を継承する職人や作家、生産者を訪ねてその希少な技を見学し、さまざまなエピソードを知ることができる。この秋、特に注目したいのは、「界 加賀」と「界 松本」でのプログラムだ。
「界 加賀」は、九谷焼や加賀友禅など、華やかで優美な加賀百万石の文化に親しめる宿。9月1日から11月30日の間の平日、「山中塗の木地師があつらえた無垢の酒器で日本酒を味わう体験」が開催される。山中塗は、山中温泉地区で作られる漆器で、木目を生かした自然な風合いを表現するのが特長だ。
担当するのは、茶道具を中心に作品を生み出し続ける、創作美術漆器「株式会社 西本」の西本浩一。宿泊当日、まず、普段は未公開の木地師の工房とその手作業を見学。その後、２種類の酒器の形から好きな形を選び、その場で木地師がろくろを回しながら、酒器をあつらえる工程を眺める。本来、この後は木地に漆を塗りこんでいくが、今回は特別に無垢の酒器を、夕食の乾杯に使用する。木の香りが残る酒器で嗜む日本酒は格別だ。夕食後、酒器は工房に戻されて拭漆が行われ、後日配送される。自分好み（茶色・朱色・黒色から選択）に仕上げてもらった酒器を、自宅でも堪能できるというわけだ。
松本の奥座敷に佇むモダンな旅館「界 松本」では、9月10日から10月10日までの期間、「信州ワインのパイオニア園で醸造家の世界観を知る収穫・試飲体験」がスタート。山梨県桔梗ヶ原の地にメルロー品種のブドウ栽培を根付かせた老舗ワイナリー「五一わいん 林農園」の菊池敬が担当する。
チェックイン前、農園で国際的に評価の高い「桔梗ヶ原メルロー」の古木を見学し、ワイン造りのストーリーを聞きながら手摘みの収穫を体験。その後、農園を眺めながら、醸造家が日常的に味わっているワインを試飲する。さらに、りんご、レモン、塩辛など、食べ物と一緒に味わうペアリングを行い、味の変化や自分の好みを探る。そして、自分好みの配合で赤もしくは白のワインをブレンド。
宿に到着した後は、「NAGOMI WINE紀行」（別料金 1人¥2,200）というプログラムを楽しむのもおすすめだ。客室で3種のワインをテイスティングし、それぞれのワイナリーを紹介する動画をスマホで視聴できる。また夕食時には、会席料理に合わせて３種類のワインが提供されるペアリングコースをオーダーすることも可能（別料金 1人¥4,180）。信州ワインの魅力や奥深さにどっぷりと浸る幸せな休日に。
芸術の秋、職人たちの熱い思いに間近に触れ、自らの視野や見識が広がる旅へと出かけたい。
INFORMATION
「山中塗の木地師があつらえた無垢の酒器で日本酒を味わう体験」
施設：界 加賀
石川県加賀市山代温泉18-47
期間：9月1日～11月30日の平日
時間：宿泊当日の11:00~12:30/13:00~14:30/15:00~16:30のいずれか。
※1日2組4名まで（1名より実施）
場所：工房なかじま（現地集合解散）
料金： 1名￥11,000（宿泊料別)
受付：７日前までに特設サイトから予約 ※事前に宿泊予約が必要
宿泊料：1泊2食付き ¥25,000～（2名1室利用の1名料金。税・サ込）
「信州ワインのパイオニア園で醸造家の世界観を知る収穫・試飲体験」
施設：界 松本
長野県松本市浅間温泉1-31-1
期間：9月10日～10月10日 ※水曜定休
時間：宿泊当日の13:00～15:00 1日1～10名
場所：五一わいん 林農園（現地集合解散）
料金：1名 ¥6,000（オリジナルラベルの五一わいんボトル１本付き。宿泊費別）
受付：７日前までに特設サイトから予約。
※事前に宿泊予約が必要。雨天時、プログラム内容が変更する可能性あり。
宿泊料：1泊2食付き ¥25,000～（2名1室利用の1名料金。税・サ込）
■問い合わせ先
界予約センター tel: 0570-073-011
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