奇跡的な偶然と必然
福岡県糸島市。知る人ぞ知る、酒米の最高峰とされる山田錦の一大産地こそ、松本日出彦氏が訪れた第三の地だ。脊振山系(せふりさんけい)の伏流水で仕込み、全量を古式手法「ハネ木」で搾る。8代目の田中克典氏が東京農業大学の4年だった時に、日出彦氏は社会人を経て短大の2年。研究室が同じだったことが出会いの発端だが、交流するようになったのはここ数年のこと。今回の武者修行では奇跡的なやりとりがあった。 「白糸酒造の周りも山田錦がたくさん育っている田んぼがあるんですけど、兵庫県のエリアとの違いを見るために去年、僕が借りている田んぼに田中さんが来てくれたんです」 農家さんと話す中で田中氏は一度試しにここの米で日本酒造りをしてみようかと、日出彦氏が日頃使っていた山田錦を購入していたのだ。 「たまたまあの時買っていた米がまだ使わずにあったんで、こういう状況になったのなら、彼(日出彦氏)が使い慣れたその米を使ったらいいんじゃないかって。うちではできる限り、彼が当時やっていたことをやってみてほしいと思いました。うちに合わせるんじゃなくて、うちで彼の酒を造ってみた方が僕も面白い。それにどんな考え方でやっているのかも知れるしすごく楽しみなんですよ」(田中氏) 冨田酒造、花の香酒造では、その地の米と水を使い、すり合わせを行いながら、その中で日出彦氏の考えを酒造りに反映するという手法だったが、今回は期せずして新たな展開を迎えた。 「5蔵の中では唯一、自分がずっと使ってきた米で酒をつくるので僕の要素がかなり全面に出てくるんじゃないかなと。数値、経過など、自分の思いどおりに仕込んでほしいと言ってくれましたし。ただ、白糸酒造オリジナルの古式手法『ハネ木搾り』なので本当に未知数です」
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