渡辺明王将(名人・棋王=37)への挑戦権を争う、将棋の第71期王将戦挑戦者決定リーグ、藤井聡太3冠(王位・叡王・棋聖=19)対広瀬章人八段戦が4日午前10時から東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった。

対局は午後5時42分、67手で先手の藤井が快勝。初戦の糸谷哲郎八段(32)戦に続いてリーグ2連勝とした。相掛かりの出だしからリードを奪うと、広瀬を攻防ともに見込みのない状態に追い込んだ。

「途中でこちらの玉も傷が多い形だったので、どうなっているか分からなかった」と振り返る。広瀬の攻めを受け止めた後、攻めに転じてリードを奪って寄り形を作る。「飛車が成って(59手目先手2三飛成)指しやすくなったかと思います」と、優勢を意識して押し切った。

年内に挑戦者を決める短期決戦の王将リーグでは、開幕ダッシュが大きく物を言う。前期、出だしで3連敗した藤井は後半3連勝したが、同じ3勝3敗でリーグの順位1位の広瀬と並んだ。順位3位と広瀬より下だった藤井が16年10月のデビュー以来、初めてのリーグ陥落の憂き目に遭った。

今期は、前期挑戦者の永瀬拓矢王座(29)以下、豊島将之竜王(31)、羽生善治九段(51)に広瀬の残留組4人と、3枠の2次予選から勝ち上がった藤井、糸谷、近藤誠也七段(25)の計7人による総当たりのサバイバルゲーム。竜王獲得経験者2人を相手の連勝に、「いいスタートが切れた。挑戦目指して頑張りたい」と意欲を見せていた。

対する広瀬は、「昼食休憩を挟んで、形勢は芳しくないと思いながら対応に苦慮していました。バランスを保つ手順が浮かばなかった」と冷静に分析する。陣形の差を突かれる形で藤井の攻めを許した。これで1勝1敗。「始まったばかりですし、星を離されないようについていきたいと思います」と話していた。