北日本放送
南砺市の井波彫刻は国指定の伝統工芸品ですが、生活様式の変化などで需要が減少し、苦しい状況に立たされています。伝統の技をこれからも残すために、職人たちは、新商品や販路の開拓など取り組みを始めています。梅本記者がお伝えします。 神社や寺の彫刻などで知られ、250年の歴史があるとされる南砺市井波の木彫刻。 半世紀にわたって携わってきた三代目・南部白雲さんは、将来に懸念を抱いています。 南部白雲さん 「家もみんなコンパクトになってきた時代、それからドアの時代になってきたら、欄間というものがニーズが無くなって」 かつて井波彫刻の主力商品だった住宅の欄間は、戦後の高度経済成長による需要に応じたものでした。しかし今は、南部さん自身最盛期の1970年代に比べると欄間の製作は1割以下だといいます。また職人の数も最盛期に比べて100人程度少ないおよそ200人で、高齢化が進んでいます。 井波彫刻に再び注目を集めたい。南部さんが思い出したのが、40年余り前に目にした、江戸看板の彫刻の記事でした。 南部白雲さん 「絵で表したほうが、わかりやすいんですよ。インバウンドで外国人さんがこう、日本へ来ますよね。日本語読めない。やっぱ絵で表す。欄間以上の市場性あると」 仲間の彫刻師とともに近年、店の看板や表札など、暮らしの中の「サイン」を地元井波で作ってきた南部さん。いま、それを県外にも広めようとしています。 南部白雲さん 「おはようございまーす。南部です、どうもすいませーん」 この日は、依頼主とリモートで打ち合わせです。依頼したのは、静岡県の「ふじのくに茶の都ミュージアム」。お茶の博物館で、2018年にリニューアルオープンしました。博物館には茶室がありますが、扁額と呼ばれる木製の茶室看板が無く、来年3月の茶会に向けて、井波で作ることになりました。 ミュージアムの担当者 「このお茶室っていうのは、小堀遠州が作ったものを、資料をもとに再現していて。」 南部白雲さん 「この、小堀遠州の、その、精神からいうたら、そこをちょっと、おしゃれにあってもいいんじゃないかなという…」 デザインから彫り、仕上げまで、井波彫刻のノウハウを注ぎ込みます。 南部白雲さん 「喜びの仕方が、思い入れの仕方が、全然違ってくる、井波はそれができる」 南部さんは、新たな需要を探ることが大切だと話します。 南部白雲さん 「脱皮せんヘビは死ぬんですよ。脱皮の繰り返しで時代のニーズをつかんでいくことが、伝統になるんですよ」 さらに新たな取り組みも。井波彫刻の職人と地元井波で街づくりに携わる人たちが設立した「木あそび工房」です。キャンプ場として人気がある地元の閑乗寺公園を拠点に、木彫刻の実演、そして体験教室も行っています。木彫刻を生かしたキャンプ用品も提案しています。 井波彫刻師 野村光雄さん 「時代のニーズに合ったような、彫刻品が身の回りに置けるような環境づくりっていうものをめざして、なにかこう我々が動きださなきゃいけないのかなと」 南部さんはいま、彫刻の魅力を井波の街全体で伝えることを目指しています。 南部白雲さん 「井波町ミュージアムタウン構想いうもんを練っとったんですよ。ここで途絶えさせるわけにはいかんのですよ。新しいニーズを、つかんでいかんなん」 井波彫刻の未来に向けて。 職人の、ひたむきな挑戦が続きます。 井波彫刻をめぐっては、南砺市が事業の継続に補助することを決めるなど、地域全体で支えていこうとする取り組みが始まっています。
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