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Sunday, February 2, 2020

ひと物語>指先に集中し音作り 加須のバイオリン職人・フィリップ・クイケンさん:埼玉(TOKYO Web) - 東京新聞

「完成後に驚きのある音が出るのが面白い」と楽器作りの魅力を語るフィリップ・クイケンさん=いずれも加須市で

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 農機具小屋を改修した室内は、木材の香りが漂う。壁には、大きさや形がさまざまなのみが七十本ほど並び、窓の外には田園風景が広がる。加須市割目にある、バイオリン作りの職人フィリップ・クイケンさん(50)の工房。「ふるさとと同じで、気持ちが良い」と、その環境を楽しむ。

 生まれ育ったのは、ベルギー。父は世界的に有名な古楽器「ビオラ・ダ・ガンバ」の奏者ヴィーラント・クイケンさんだが、子どもの頃から演奏よりも、ものづくりに興味を持った。木材を使って、机やたんすを作ったり、ドアを修理したり。

 将来も木工技術を生かした職に就きたいと思っていたが、大工や家具作りは、機械化が進み、手作りする余地が少ないと知って断念。そんな時、父の楽器の修理を見て、面白いと感じた。楽器は一つずつ手作りで、毎回同じではないという点も気に入った。

 高校在学中だった十五歳の時、バイオリン作りを始めた。工房で職人から話を聞いたり、高校が休みの日に、アマチュア向けの楽器作りの学校で習ったり。書物も読んで技術を磨いた。

 二十五歳のころ、日本からチェロの注文があり、初めて来日。以降も注文が続き、毎年のように日本を訪れる中で、日本人女性と知り合い、結婚した。一九九九年から東京で暮らしていたが、子どもが生まれて部屋が手狭になったことから、郊外の家を探して、現在の自宅を見つけた。

 ベルギーと日本では、気象環境が異なるため、楽器作りでは苦労する。日本は湿度の差が激しい。夏は高温多湿、冬は低温で乾燥する。気を付けなければ板が割れたり、夏場にニスを塗ると乾きが遅く、仕上げに影響したりする。冬場は加湿器が欠かせず、夏は冷房で調整する。

 バイオリン作りは繊細な作業だ。指先で常に木の感触を確かめ、堅さや厚さの違いに神経をとがらせる。違いがあれば、それに合わせて削り方を変えたりもする。一つ一つの作業が、完成した時に、微妙な音の変化になって現れる。製作にはバイオリンやビオラは二カ月、チェロは四カ月程度かかる。

 三十年以上楽器作りをしているが、毎回、完成した後、驚きのある音が出るのが、面白いと感じる。「もっと良いものを作りたい」と常に探求心を燃やし続け、「今もまだ勉強中です」と話す。

  (寺本康弘)

<フィリップ・クイケン> ベルギー生まれ。高校在学中の15歳でバイオリン製作を始め、1999年に結婚を機に日本に移り住んだ。2005年から加須市に在住。バイオリンやビオラ、チェロの製作と修理をする。16〜18世紀ごろの古い時代の様式のバイオリンも作っている。問い合わせは、工房=電0480(65)0056=へ。

木の感触を確かめながら楽器作りに取り組むクイケンさん

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February 03, 2020 at 05:44AM
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