神戸市内で採れた原料のみを使い、初の「純神戸産」クラフトビールを作るプロジェクトが進んでいる。その名も「KOBE LOCAL BEER PROJECT(コーベ・ローカル・ビア・プロジェクト)」。同市西区で採れた大麦を主に同市北区のホップや六甲布引の水を使って醸造する。2月に初めて商品を完成させ、9月に「第2弾」も予定。プロジェクトのメンバーは「農家と醸造家、消費者がつながり、好循環を生み出したい」と意気込む。(伊田雄馬)
プロジェクトは同市中央区の醸造所兼ビアバー「IN THA DOOR BREWING(イン・ザ・ドア・ブルーイング)」の中村美夏さん(41)と西区の農家大皿一寿さん(52)が手を組み立ち上げた。
きっかけは2018年夏ごろ、大皿さんが中村さんに投げ掛けた一言だった。「ビール用の麦を作ったら買ってくれる?」
西区では農家の高齢化や後継者不足で、耕作放棄地が急増。大皿さんは手を掛けずに作ることができるコメの裏作を模索し、大麦にたどり着いていた。同醸造所は海外産の大麦を使用していたが、「純神戸産のビールを造ることができるのでは」という大皿さんの提案を快諾した。
2018年の11月、初めて種をまいた。冬なので除草の手間が掛からず、農機具もコメ作りで使うものを転用してコストを省いた。19年6月、45アールから大麦約480キロを収穫した。
「甘い!」。同年秋、麦芽(モルト)が完成し、中村さんはできたての麦芽を口に含んで声を上げた。香りも風味も、輸入品以上だった。同市北区などで栽培されているホップも取り寄せ、「イン・ザ・ドア-」の設備で250リットルを醸造した。
ビール造りの資金はクラウドファンディングで調達した。100万円を目標に同年11月から2カ月で208人から約142万円を集めた。投資者への返礼品はビールやオリジナルTシャツ。中村さんは「先にお金をいただくことは責任を伴うが、期待の大きさを感じた」と振り返る。
完成したビールはすっきりと飲みやすく、中村さんは「後味はフルーティーだけどコクがある」と品質に自信を見せる。ビールは半分近くを出資者への返礼品とし、残りは同店で提供する。今年9月にも同じ量を醸造する予定という。
環境に優しい取り組みを目指し、製造過程で発生した麦芽の「絞りかす」も有効利用する。近隣の農家に肥料として提供するほか、同市中央区の「一粒万倍グラノーラ」がグラノーラに加工して販売。同店の板垣香織代表(49)は「食物繊維やタンパク質が小麦よりも豊富」と太鼓判を押し、プロジェクトの意義を客に説明しながら商品を提供してきた(現在売り切れ)。
大皿さんは今年、昨年の4倍となる2トンの大麦を収穫する予定だ。「ビール造りは農業者としてのロマン。神戸の街角で消費され、経済や資源の循環が生まれればうれしい」。中村さんは「いずれは神戸のレストランやお土産屋に並ぶようになれば」と夢を描く。
「イン・ザ・ドア-」では1杯(300ミリリットル)1070円で販売。残りは約30リットルという。同店TEL078・222・6330
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■クラフトビール定着へ 農家と醸造所が共に学び、努力を
2015年頃からのクラフトビールブームで、まちおこしにビールを生かす動きは広がった。
成功例で知られるのは日本一のホップ栽培面積を誇る岩手県遠野市。06年に「ビールの里構想」を打ち出し、キリンビールの支援も受けつつ観光客の呼び込みを進める。毎夏の「遠野ホップ収穫祭」は人気イベントで、昨年は2日間で約1万2千人が詰め掛けた。
一方で、日本ビアジャーナリスト協会の藤原ヒロユキ会長は警鐘を鳴らす。「大手が後押しする遠野市の例は珍しい。まちおこしのためのビール造りはリスクを伴う」
藤原さんによると、地ビールブームで粗製乱造された品々が全国にあふれたことがブームに水を差したという。「消費者も初めは応援しようという気持ちで購入するが、品質が伴わないと続かない」といい、「農家と醸造所が共に学び、努力を重ねる必要がある」と強調する。
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March 19, 2020 at 03:30AM
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