サントリー食品インターナショナルが展開する「クラフトボス」に、新たなラインアップが加わる。8月17日に発売する「抹茶ラテ」だ。サントリーには緑茶ブランドの「伊右衛門」が存在するが、なぜ「クラフトボス」から発売することになったのだろうか。
2017年に発売したクラフトボスは「缶コーヒーじゃない、ボス」とのキャッチフレーズで、ペットボトル入りコーヒーという新たな市場を開拓。缶コーヒーユーザーとは異なり、若年層や女性層から支持を得ることに成功した。21年5月までの販売本数は累計で28億本を突破。21年1〜6月は前年比115%と、コロナ禍でも順調に推移している。
19年には同ブランドから「紅茶」を発売し、コーヒー以外の新たな選択肢の提案を進めていた。そんなクラフトボスが第3のカテゴリーとして展開するのが「抹茶ラテ」だ。
戦略発表会で、同社の常務執行役員 ブランド開発事業部長の柳井慎一郎氏は「ミルク入り飲料の新しい提案ができないかと模索をしていた」と発売の経緯を話す。
ミルク入り飲料の人気は高く、同社によるとコーヒー市場と紅茶市場をあわせたミルク入りの構成比は55%と、無糖などのミルク無しを上回っているという。その一方、クラフトボスの商品構成は、ミルク入りが40%、ミルク無しが60%となっていた。
また柳井氏は、コロナ禍による働き方の変化で、ストレスを感じる場面が増加し「ミルク入り飲料をより飲みたくなる“小休止を求める”場面が増加しているのでは」と分析する。
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クラフトボスの商品に伊右衛門の技術を120%活用
同商品のテーマは「濃いのに爽やか」。柳井氏は「伊右衛門で培った抹茶のブレンド技術を120%活用した」と胸を張る。石臼ひき抹茶など国産の抹茶を使用し、本格的な香りを楽しめるよう工夫しつつ、複数の抹茶をブレンドすることであと残りせず飲み続けられるキレを表現したという。また、抹茶との相性がよいクリーム原料を使用し、濃厚で上品な乳の甘みを感じられるようにした。
柳井氏は「お店で出る抹茶ラテに比べたら、甘さは相当控えめにした。抹茶の『濃さ』だけではなく『甘さを抑える』効果を出せるよう工夫をした」と説明。「クラフトボスの思想を強調した味に仕上がった」と自信をみせる。
パッケージのデザインは、落ち着きを感じる緑と白の市松模様を採用。働く人に「ほっと一息ついてほしい」との思いを込め「憩」の落款(らっかん)を配した。
しかし、なぜ同社は「伊右衛門」ではなく「クラフトボス」から抹茶ラテを発売することにしたのか、柳井氏は次のように説明する。
「クラフトボスは、単なるコーヒーブランドではなく、さまざまなことにチャレンジできるブランド。抹茶に関する研究は以前から進めていて、どのブランドでも展開は可能だった。その中で、お茶のイメージがある伊右衛門ではなくクラフトボスから新しい提案として出すことで、市場の活性化が図れるのではと考えている」
抹茶ラテといえば、コカ・コーラシステムが3月に発売した「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」が好調だ。生産が追い付かず発売から約1週間で出荷停止となり、7月から販売を再開している。
柳井氏は「差別化を図るために開発した訳ではない」と強調した上で「結果論になるが、当社の商品は日本茶ブランドではないクラフトボスからの提案。濃くて満足感がありながら、最後はすっきりとして飲みやすい点を強調している」と他商品との違いを語る。
缶からペットボトルへ、コーヒーから紅茶へと新たな提案を続けてきたクラフトボス。コロナ禍で働き方が変化する中、同社の新しい提案は受け入れられるだろうか。
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