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Saturday, January 8, 2022

「飲むあんこ」異色タッグから誕生 元スポーツ選手×あんこ職人<マイストーリー> - 東京新聞

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スポーツ選手のエナジードリンクとして「飲むあんこ」を開発した平子勝之進さん=台東区で

スポーツ選手のエナジードリンクとして「飲むあんこ」を開発した平子勝之進さん=台東区で

 元スポーツ選手とあんこ職人の異色コンビから生まれた新商品が注目を集めている。その名も「飲むあんこ」。スポーツ選手の栄養補給に開発されたドリンクだ。2020年1月の発売から2年、選手のみならず医療従事者にも重宝されている。(大島宏一郎)

◆スポーツの現場でひらめき

 飲むあんこは、野菜や果物のジュースを扱う「UNDERWATER」(台東区)社長の平子勝之進さん(45)が考案。主成分の小豆は低脂質でタンパク質も含まれており、あんこの糖分を摂取することで運動時のエネルギーを補える。容器は飲み口のあるパックを使っており「運動時も片手で飲みやすい」(平子さん)という。

 もともとは学生時代に水球選手だった平子さん。新商品のアイデアが思い浮かんだのは、スポーツの現場を訪れた時のことだ。知人のボディービルダーがプラスチック容器に詰めたあんこをスプーンで食べる光景を見て、ひらめいた。「飲めるようにしたら便利ではないか」

「木下製餡」の木下公章社長=板橋区の木下製餡で

「木下製餡」の木下公章社長=板橋区の木下製餡で

◆「体に良いものを作りたい」に共感

 その後、平子さんは、原料のあんこを提供してもらおうと、製造元として「木下製餡」(板橋区)に協力を依頼。アイデアを社長の木下公章さん(58)に持ち込んだ。「あんこを常温で飲む発想はなかった」。温めて飲む「おしるこ」と似て非なる点に驚いたという。

 それでも、木下さんが協力に応じたのは「体に良いものを作りたい」という平子さんの考えに共感したからだ。主原料は小豆と砂糖で、人工甘味料などの添加物を使っていないのが特徴だ。運動時も飲めるのど越しの良さも追求。釜で小豆を煮込む際、固くならないように水を加えるなど何度も試作を繰り返した。

ウエートトレーニング前後に「飲むあんこ」で栄養補給するトレーナー=UNDERWATER提供

ウエートトレーニング前後に「飲むあんこ」で栄養補給するトレーナー=UNDERWATER提供

 試作を始めた19年秋から3カ月後に発売。実際に使った選手からは「体を酷使する中で甘い物に癒やされる」「(消化しにくい固形物と違って)練習前に飲んでも胃もたれしない」との声が多い。「シンプルな主原料で余計なものを入れない」(平子さん)点も好評で、ドーピング違反の恐れもなく栄養を補給できるという。

◆医療従事者の癒やしにも

「飲むあんこ」を利用する医療従事者=UNDERWATER提供

「飲むあんこ」を利用する医療従事者=UNDERWATER提供

 今では世界大会に出場する選手も利用しており、木下さんは「普段あんこを食べない人に和菓子の魅力を伝えられた」と笑顔。平子さんは「コロナ禍で忙しい医療従事者も栄養補給に使った。より多くの人に広めたい」と話す。飲むあんこは一袋350円。UNDERWATERの通販サイトで購入できる。

   ◇   ◇

 中小企業の連携から生まれた「飲むあんこ」は、試作から約3カ月で発売にこぎつけた。大企業に比べて意思決定が早くできる中小企業の「スピード感」(東京中小企業家同友会)が生きた事例といえる。

 同会の担当者は、連携のメリットについて「製造から販売まで各社が役割分担できる点」を挙げる。小回りの利く中小同士の連携は、顧客ニーズの変化や商機に素早く対応できると指摘。「各社が得意分野を持ち寄り新規事業を進めやすい」とした。

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