ラシード通り(Rasheed Street)に面したショーウインドーには、フェルトの箱に入ったアンティーク時計が一列に並んでいる。対照的に店内は腕時計が山積みになっていたり、壁からぶら下がったりしている。床に置かれたバケツ、段ボール、棚、スーツケースにもびっしり時計が詰まっている。
アブドルカリームさんは店の隅で木製の古い机に座り、身をかがめてアンティーク時計をのぞきこむ。「すべての時計に個性がある。自分の子どものように、その個性をできるだけそのままにしようとしている」。アブドルカリームさんは太い黒縁の眼鏡越しに目を細めながらAFPに語った。
1940年代に店を始めた父方の祖父は亡くなる前に、アブドルカリームさんの父親に店を譲っていた。アブドルカリームさんは祖父の死後、父親に教わりながら11歳で時計修理を始めた。
アブドルカリームさんは1万ユーロ(約130万円)はする「パテックフィリップ(Patek Philippes)」や、「貧しい男の時計」と呼んでいる「シグマ(Sigma)」などスイスの高級腕時計の修理を手掛けてきた。
イラクの独裁者だった故サダム・フセイン(Saddam Hussein)の時計も直したのではないかと思っている。「大統領府から持ち込まれた珍しい時計の裏に、サダムのサインが入っていた」
その時計の修理費用は400イラク・ディナールだった。1980年代には1000ドル(約10万円)に相当する額だったが、今のレートでは1ドル(約103円)にも満たない。
あれから多くのことが変わった。アナログの腕時計はデジタル時計に置き換わり、今ではさらにスマートフォンに取って代わられた。
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